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Blog国語の力を伸ばすために
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2021.01.29国語の力を伸ばすために
物語読解の達人への種まきをしよう!その1
気持ちを表す身体表現(動作・表情・様子・台詞)、どれくらい知ってる??
「髪を振り乱す」「眉をひそめる」「目を伏せる」「口元をゆがめる」「首をすくめる」「肩をいからせる」・・・
人の身体の上から順に思いつくままに書いてみました。
それぞれ、どんな気持ちの時の身体表現でしょうか?
みらい学習教室のS教材では、物語を読む際、こうした”登場人物の気持ちを表すことば”を見つける、という問題にも取り組みます。
大人にとっては簡単な問題です。
なぜなら、子どもたちと比べて圧倒的に”経験”が豊富だから。
でも子どもたちにはとてもハードルの高い問題なのです。
例えばこんな問題。
問題「かばんにつけていたキーホルダーを落として失くしてしまいました。キーホルダーはプレゼントにもらったものです。わたしは、道を探しました。でも、見つけることができませんでした。家に帰った私はベッドに座り込んでしまいました。」
とありますが、この主人公の気持ちが表れているのは、どのことば(部分)でしょうか?
この問題に取り組んだ子どもたちの反応は様々でした。
「え―!僕、キーホルダーを落としたって、別に何とも思わないよ・・・」
この発言には驚かされました。
「物を失くした時、叱られた、慌てた、悲しくなった、困った・・・」経験が無い、というのですから。
ずいぶん悩んだ後、「『道をさがしました』かなぁ・・・」と答えた子もいました。
解答欄のマス目の数と合わないことから間違いだと気付いたのですが・・・
正解はもちろん「ベッドに座り込んでしまいました」ですね。
「(通ってきた)道を(後戻りして)探した」けれど「見つからなかった」から「がっかり」し、「悲しみに打ちひしがれ」て、立ちあがる気力すら失くし、茫然自失・・・
さすがにそれは大袈裟過ぎるかもしれませんが(笑)
とにかく、ここが、主人公の気持ち、様子がよくわかる部分です。
正解を示しながら説明をしたのですが、
「へぇ・・・そうなんだ」という反応でした。
隣でご覧になっていた保護者の方々は皆「子どもって、こんなことも分からないんだ!」と驚かれていました。
そもそも、実体験の少なさを補って情緒を育てることが物語を読むことの意義の一つだと思うので、小学校低学年の子どもたちはまだまだこれから・・・なのかもしれませんが、さすがにこんな調子で、これからも「読んでもピンとこない」「文章から読み取るのが難しい」「感情移入できなくてつまらない」ままの状態で読書を強要されると、読書嫌い、読書離れをおこしてしまうかもしれません。
そこで、その前段階として、普段よく見ているアニメの登場人物の動き、表情、発せられたセリフから、それが表している気持ちを考えてみることを勧めておいたのですが・・・
動画は流れていってしまうので、やはり効果は薄い、と言わざるを得ません。
親子で絵本を一緒に読みながら、「この子、こんな顔してるけど・・・どういう気持ちなのかな?」などと問いかけて想像させてみる。
そんな年齢を過ぎてしまっているなら、せめて漫画本からでも、そういう表現に親しんでくれたらなぁ・・・と思います。
理解する方法はともかくとして。
身体表現だけでなく、「うしろめたい」や「やるせない」といったいわゆる『心情語』の語彙が乏しいと、登場人物の気持ちの理解が浅くなってしまうため、高学年になって増えてくる、心情を問うような記述問題に太刀打ちできない、ということが起こってしまいがち。
もちろん、こうした知識、語彙というのは、ただテストのために覚えるべきものではありません。
数学者であり、文筆家としても名高い藤原正彦氏は『祖国とは国語』(新潮文庫)の中でこう断言されています。
「母国語の語彙は思考であり情緒なのである」
本当に「使える」ようになる語彙の数は急に増えるものではありません。
自由に使いこなせる言葉の数の差=思考力の差、情緒の豊かさの差、なのです。
心情語の語彙を増やし、気持ちを表す動きを実感を持って理解させるために、幼少期から家庭でできること。
それは読書を強要することでも、受験用の心情語リストを覚えさせることでもありません。
心を揺さぶられるような経験をたくさんさせてあげること・・・
生活の中の、様々なシチュエーションを利用して、多少不自然でも、大袈裟なジェスチャーをしてみる、そしてそれを言葉にして伝える・・・
そういう地道な親御さんの努力、だと思います。
子どもの語彙力は一番大好きなお父さん、お母さんと活き活きとした表情活発なコミュニケーションを取ることで、どんどん伸びていきます。
お子様のために、『役者』になったつもりで。
今日からぜひ実践してみてくださいね。