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Blogブログ・国語の力を伸ばすために
Blogブログ・国語の力を伸ばすために
2021.03.15ブログ・国語の力を伸ばすために
「9歳の壁」を乗り越えよう!その1
「9歳の壁」「10歳の壁」という言葉をご存じですか?
簡単に言ってしまえば、「他者意識が発達し、自分を客観視できるようになる9歳前後の子ども」が、「自分を他人と比較して劣等感を持ったり、自信を失ったりしやすくなり、その結果、反抗的な態度を取ったり、言葉遣いが荒くなったりする状態」で、「学習内容が、目で見たらすぐわかる内容から抽象的思考力を要求されるような内容へと、質的に変化してくる同時期に直面する勉強面での壁」のことです。
出口式みらい学習教室では、幼児童対象に論理的思考を育むプログラムに基づく指導がメインですので、当教室に通ってくれている子どもも大半が幼児から小学校低学年の児童です。
しかし、最近、「9(10)歳の壁」に直面していると考えられる年齢のお子様をお持ちの親御様で「特に算数の文章問題などでそのつまづきが顕著に表れてきた、それも結局は国語力の問題ではないかと考えて」入会を決めて下さる方も徐々に増えてまいりました。
結論から申しますと、こうした親御様の認識は「正しい」です。
具体的なもので計算するような問題が主であった小学校1~2年生までの算数と、分数、少数、割合、比などの「抽象的思考を要求される問題」を扱う中~高学年の算数の間には大きな隔たりがあります。
例えば『割合』を学習した時に出てくるこんな問題。
「花子さんはりんごを6個持っています。太郎さんが持っているりんごは2個です。
花子さんは太郎さんの何倍のりんごをもっているでしょうか?」
もちろん、計算式は6÷2=3 で「3倍」が正解ですね。
けれども、割合の難しさは、「見えない数を考える」ところにあります。
「6個のリンゴ」と「2個のリンゴ」は具体的に思い浮かべることができますし、絵にすることができるでしょう。
けれども、絵にかいたところで「3倍」の“3”という数は目には見えないのです。
教科書では「元にする量を1としたときの、比べる量を表す数」が「割合」だと学習します。
(・・・この文章がすでに抽象的で分かりにくいですね)
だから「2個のリンゴ」を基準として1とした場合、「6個のリンゴ」は「2個」の「3倍」になる・・・とまあ、ここまではなんとか理解できたとして。
では「2は6の何倍ですか」と問われると・・・わからなくなる子が更に増えるのだといいます。
上の問題と同じように、2÷6を計算すればよいはずですが、答えが分数になり、イメージがわきにくくなるのが原因だそうです。
「抽象的思考力」とは「実体のないものを具体的にイメージすることで理解できる力」ともいえます。
もっと簡単に言うと、「物事を比較してみたとき、それらの共通する点、異なる点に着目してそれらを区別し、持っている知識との関連やつながりを見つけて考える力」でしょうか。
上記の2÷6の場合、「2枚のピザを6人で分けるとしたら1人がたべられるピザは・・・」などと具体的にイメージ出来れば「要するに1枚を3人で分ければいいんだから、1人3分の1ずつ食べられるってことになるよね!」と考えられる子は割合や分数の問題でつまづくことが少ないと思われます。
記述式の問題が増えてくると、更に「考え、判断するに至った根拠を明らかにしたうえで、相手に分かりやすく(つまり論理的に)伝えられる力」も求められるようになります。
これは算数だけでなく、どの教科でも必要とされる力です。
回り道のように思われるかもしれませんが、こうした「抽象的思考力」「論理的表現力」を育むことこそが、「9歳の壁」を乗り越えるための近道なのです。
では、こうした力を育むために、家庭でできることはなんでしょうか?
次回は、その方法についてお伝えしたいと思います。