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Blogブログ・国語の力を伸ばすために
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2022.04.25ブログ・国語の力を伸ばすために
作文を書く、ということ
3月に始まりました、当教室の新年度も、
早いもので、もう2ヶ月が経とうとしています。
今年度は作文講座の受講生が増えました!
そこで今回は、作文を書く、ということにはどういう意味、そして効果があるのか、ということについてお話させて頂こうと思います。
こんな実験があります。
いろんな色のおもちゃが置いてある部屋に子どもたちを集め、
「この中で赤色のものを探して、後でその数を教えてね」と言っておいて、部屋を自由に探索させます。
しばらくしてから、再び子どもたちを集め、先ほどの質問に答えさせた後、
「じゃあ、青色のものは、どんなものがいくつあった?」と尋ねます。
ほとんどの子は答えられないか、適当なおもちゃの名前と数を言うそうです。
答えは・・・「ボールが1個」。
子どもの目線にぴったりな高さの棚の上に、直径50cmもの大きな青いボールを、同じ大きさの赤いボールと隣り合わせに一つ置いてあったのに、全然それに気づいてなかった、ということです。
もちろん、赤いボールの方は、子どもたちが最初に答えた「赤色のもの」の数にきちんと入っていたそうなので、みんな、その場所を見ていたことは間違いないのです。
なのに、となりにあった青いボールは目に入らなかった・・・
この実験、大人に試してみても、同じような結果になるとか。
・・・ちょっといじわるですか?(笑)
でもこれは人間の「知覚」が正しく作業した結果なので、当然の結果と言えるらしいです。
人間は、五感を使って、外部の刺激を受け取ります。
受け取った刺激は、電気信号として脳の「感覚記憶」に伝達されます。
でも、五感は常に働いており、感覚記憶には次々と新しい刺激が伝達されてくるため、通常、この記憶は0~2秒ほどしか保持されません。
「知覚」する、ということは、その感覚記憶から「処理したい情報を取り出し、整理して、数十秒保持できる『短期記憶』へと移動させる作業」をいいます。
この、「処理したい特定の刺激に対して注意を向ける」ことを「選択的注意」といいます。
先ほどの実験で言えば、「赤色のもの」に注意を向けて、探索行動をしていた結果、視覚から「青いボール」の情報が入ってきていたにも関わらず、その記憶は「短期記憶」に移動させられることなく、一瞬のうちに消え去った・・・というわけです。
わたしは作文講座を受講している子どもたちと、その保護者の方にこんなことをお願いしています。
「いつも『作文を書く』ために、五感を働かせて、書く『材料』をたくさん集めておきましょう。そして、必ずそれをその場で、きちんと適切な『言葉』にして、記憶に留めておくようにしてくださいね」と。
『作文を書く』ために持たせたほんの少しの心構えが、子どもたちに今まで見えなかったものを見せてくれます。
気付かなかった匂いや肌触り、音を感じ取ろうとさせます。
ゆっくり食事を楽しむことで、繊細な味の違いを確かめようという気持ちを起こさせます。
キラキラ光ってて、うっとりした・・・
チカチカしてて目がくらくらした・・・
お砂糖が焦げた時みたいな、香ばしくて甘くてとっても美味しそうな匂い・・・
ツンとした、刺激的な嫌な臭いに思わず鼻をつまんじゃった・・・
ふわふわ、もこもこ、ぬるぬる、ザラザラ・・・
新しい消しゴムみたいな、さらさらした触り心地・・・
ギャーギャー、ドンドン、ことり・・・
トマトの酸味、ピーマンの苦み、加熱したら甘くなっておいしいね・・・
いかがですか?
初めて教室に来た時、なんにも書けなかった子どもたちが、次第にこんな言葉で自分の体験を語ってくれるようになります。
「作文を書く」材料を集めるために、「選択的注意」を向ける対象を拡げた結果です。
「はじめのいっぽ作文教室」では、そうした子供たちの「言葉」を材料に、その体験を誰かに伝わる形に「整える」方法を学んでもらっています。
「作文を書く」ために、まず感じようとする、そしてそれを自分の中に留めるために言語化する、そしてそれを誰かに伝えるために最適な方法を学んで、表現する力を身に付ける・・・
それが「作文を書く」目的であり、効果なのです。
さあ、ゴールデンウィークが始まります!
コロナ禍の中、なかなか思うように外出できない人も多いとは思いますが、学校で『作文を書く』宿題が出てる人もそうでない人も、ぜひ五感を研ぎ澄まし、たくさんのことを吸収してきて下さい。
そしてそれを自分の中にある「言葉」と結び付け、たくさんのことを「記憶」に留めておきましょう。
その積み重ねが、豊かな感性、個性を育んでいくのです!
たくさん吸収、インプットしたら・・・必ずアウトプットしたくなるのが人間というもの。
「はじめのいっぽ作文教室」の扉はいつも開かれています!
入会は随時受け付けていますので、ぜひ一度、体験しに来てください。
保護者の皆様、作文を書くことで、お子さまの五感がどんどん鋭く磨かれていく過程を、一緒に見守っていきませんか?